Hosting AU を使ってニコニコ生放送で声にエフェクトをかける方法の例
0. はじめに
Hosting AU は Mac OS X 上で動作する、Audio Units のソフトウェアシンセサイザーやエフェクターを動かしたり、その音声を録音したりできるソフトです。
機能はかなりシンプルですが、その分
GarageBand よりもかなり軽いです。
この記事では、そんな Hosting AU を使ってニコニコ生放送で声にエフェクトをかける方法の例を説明します。
なお、この記事中のスクリーンショットはクリックすると拡大して表示されます。
1. この記事で使用するソフト
Mac (GarageBand かも)では「AUMatrixReverb」というリバーブ用 Audio Units がインストールされますが、筆者がこのAudio Unitsの使い方がよくわからなかったので簡単に操作できる TAL Reverb 4 を使って説明します。
2. ダウンロードとインストール
2.1. Hosting AU は上記リンクから左側の「Download Now!」をクリックしてダウンロードされた「Hosting AU.zip」をダブルクリックすると「Hosting AU」(設定によっては「Hosting AU.app」)というアイコンが表示されるので、それをアプリケーションフォルダに移動して下さい。
2.2. TAL Reverb 4 は上記リンクから右側の「Mac」等と書いてある方のアイコンをクリックしてダウンロードされた「TAL-Reverb-4-installer.pkg」をダブルクリックするとinstallerが起動しますので、インストーラーの指示に従ってインストールして下さい。
TAL Reverb 4 を使う場合は、インストール後にMacを再起動して下さい。
3. Hosting AU の基本的な設定
3.1. Hosting AU を起動すると図1の様な画面が表示されるので、「Ext-In/Track D」のすぐ下の「No Input / Inst」のすぐ左にある白い点をクリックして下さい。
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図1:Hosting AU の起動画面 |
3.2. すると、図2の様なプルダウンメニューが表示されるので、内臓マイクの場合は「Built-in Microphone」、それ以外の場合は使ってるマイクを選択して下さい。
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図2:入力選択のプルダウンメニューの例(画像は一部加工しています) |
3.3. 次に、図3の右側の「Master」のところにある「Built-in Output」の左側にある点をクリックして下さい。
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図3:マイクの選択が終わった状態の例 |
3.4. すると、図4の様なプルダウンメニューが表示されるので、「soundflower 2ch」か「Soundflower 64ch」のうち、LadioCastを使ってニコニコ生放送をする時に LadioCast の入力側に指定している方の soundflower を選んで下さい。(このブログのほとんどの記事では soundflower 2ch にしているので、この記事でもそうします。)
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図4:出力選択のプルダウンメニュー |
3.5. 図5の様な画面になったと思います。既に放送を開始している場合は LadioCast で指定したマイクと、Hosting AU 経由でのマイクの音声が2重に放送に流れているので、LadioCast の入力でマイクを選んでいるところを N/A にして下さい。
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図5:入力と出力の選択が終了した状態の例 |
これで基本的な設定が終わりました。
4. 声にエフェクトをかける例1(リバーブ)
次に、声にエフェクトをかけます。ここではリバーブをかけてみます。
4.1. 図5の「Ext-in / Track D」の下にある「No Effect」の左にある白い点をクリックします。すると、図6の様なエフェクト選択のプルダウンメニューが表示されるので、「TAL Reverb 4 Plugin」を選択します。
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図6:エフェクト選択のプルダウンメニューの例(画像は一部加工しています) |
4.2. 「TAL Reverb 4 Plugin」を選択すると図7の様な画面になるので、「TAL Reverb 4 Plugin」をクリックします。
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図8:「TAL Reverb 4 Plugin」選択後の画面の例 |
4.3. すると、図9の様な画面が表示されます。
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図9:TAL Reverb 4 Pluginの設定画面 | |
各項目は下記の様な意味になるので、 ご自分で色々試して下さい。
- On:クリックすると赤いランプが消えて、リバーブがかからない音がそのまま出力される。
- Wet:リバーブ後の音声の音量を変える。
- Dry:リバーブ前の音声の音量を変える。
- Delay:リバーブ音の遅延を変える。
- Size:部屋の大きさを変える。(Sizeを大きくすると残響音が長くなる)
- Lo-Cut:低い周波数をカットする(Lo-Cutを増やすと低い周波数からだんだん高い周波数もカットする)
- Hi-Cut:高い周波数をカットする(Hi-Cutを増やすと、高い周波数からだんだん低い周波数もカットする)
よくわからない場合は、とりあえず下記の様な設定で試してみて下さい。
- Dry は最大
- Delay は最小
- Size は真ん中
- Lo-Cut は最小
- Hi-Cut は白い印が右側に向く位置
- Wet を最小にしてからだんだん上げてみる
ちなみに上記の設定で「Wet」を真ん中くらいにすると日本の一般家庭のお風呂場みたいなカンジになると思います。
4.4. お気に入りの設定が決まったら、図9の右側の「drop .aupreset to read」等と書いてある部分をクリックすると、このプラグインの設定を保存できます。
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図9:プラグインの設定保存ボタン |
ただし、保存されるファイル名の拡張子は他のプラグインでも同じ拡張子が使われる為、設定を保存する時は保存するフォルダ名やファイル名にプラグインの名称も含めて保存した方が良いと思います。
保存した設定を呼び出す時は、保存した設定ファイルを図9の設定保存ボタンにドラッグ&ドロップして下さい。
5. エフェクトを一時的に切る
設定したエフェクトを一時的に切りたい場合は、設定したエフェクト名のすぐ右側のボタンを押します。
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図10:エフェクトのオン/オフボタン |
すると、図11の様にエフェクト名が薄くグレーに表示されます。これでそのエフェクトがオフになりました。
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図11:エフェクトがオフになった状態の例 |
エフェクト名が薄くグレーに表示された状態からもう一度エフェクト名の右側のボタンを押すと、エフェクトがオンになります。
6. 声にエフェクトをかける例2(声の高さを変える)
他のエフェクトも試してみます。「AU Pitch」を使って声の高さを変えてみます。
図8の「TAL Reverb 4 Plugin」の左にある白い点をクリックして表示されるプルダウンメニューから、「AU Pitch」を選んで下さい。
すると、図8の「TAL Reverb 4 Plugin」のところが「AU Pitch」に変わります。この「AU Pitch」をクリックすると、図12の様な画面が表示されます。
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図12:AU Pitch の画面 |
各項目の意味は次の通りです。
- Pitch:声の高さ。Pitchを下げると声が低くなり、Pitchを上げると声が高くなります。
- Effect Blend:元の声と高さを変えた後の声のバランスを変える。Blendを上げると声の高さが変わった後の音声の割合が大きくなる。
- Smoothness:音の滑らかさが変わるっぽい(けどよくわからなかった)
- Tightness:音のメリハリ(たぶん)。
基本的には下記の様にして調整するのが良さそう。
- Effect Blend は100%
- Smoothness、Tightness は50%
- Pitch を上げ下げして自分の好みの高さにする。
7. 設定の保存と読み出し
使うエフェクトの組み合わせが決まったら、設定を保存する事で次回以降設定がスムーズにできる。
Hosting AU の「File」メニューから「Save As...」から設定を保存できる。
同じく「File」メニューの「Open...」メニューから保存した設定を読み出せる。
8. その他
図5や図8を見るとわかる通り、1つのトラックにつき3つのエフェクトまで同時に使えます。
TAL Reverb 4 Plugin 使用時の GarageBandとのCPU使用率とメモリ使用量の比較(
MacBook Pro 15" early 2011 (CPU: Core i7 2.2GHz、メモリ8GB)、OS X 10.10.5 の場合の参考値)
- GarageBand 10.1.0:CPU 約16% 前後、メモリ 約280MB
- 但しそれ以外にもAudio Unitsをインストールしているので、真っさらな状態よりは多少負荷が高いと思われる。
- Hosting AU 1.3.8:CPU 約4%、メモリ 約 18MB
Hosting AU を使っていると、たまに音声がおかしくなる事があります。その場合は Hosting AU を再起動すると正常に戻ります。
更新履歴
- 2015年10月10日:この記事の作成
- 2016年2月15日:TAL Reverb 4 インストール後の再起動の記述を追加
- 2016年3月6日:エフェクトを一時的に切る方法と音声がおかしくなった場合の対応を追加